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  • 執筆者の写真Rajasthani Madhu

唄と踊りのインド〜インド草の根芸能祭を終えて 後編





前編でお伝えしたのは、この日踊った頭を壺に乗せて踊るチャリダンスでした。

そしてもうひとつ、生徒と二人で挑んだ演目が「新旧のカールベーリヤー(以下カルベリヤ)」です。




ここ数年、特に私の感覚的にはコロナ以降。


私が知る、インド・ラージャスターン現地のダンサー達の踊り、選曲、メイク、SNSへの投稿内容が変わってきたように思う。


ほとんどの人がインスタのリールやTIKTOKなどで、今流行の音楽やボリウッド音楽に載せてアクティングしている。


どこからどう見ても「砂漠のジプシー」と聞いてイメージする人達とはかけ離れているだろう。私も先生がいちごのパジャマを着て演技をしていた時は一瞬フォローを外しかけた。


それはいいとして(あんまり好きでないし、本当は見たくないんだけど、世界の流行りだし、SNSに何をあげるかは個々の自由だし)


問題はその音楽。


私達のような外国人としてはおそらく99%の人達が、ラージャスターンの素朴でどこか懐かし気があり、明るく情熱的な音楽だと思う。


その良さがかき消されるかのように、強すぎるエフェクトがガンガン効いていたり、安っぽい電子音楽が入ってくるタイプが人気の様子。


例えばこんなの。これは去年夏ころからずーっと流行っているCHitta Cholaという曲。


私がこんなことを言うべきではないんだけど、、、、


歌詞に合わせて動きをしているのはわかるが、私の感覚からするとなんだか下品に感じる踊りなのです。



こういうのを私の先生や、その家族、昔めちゃくちゃかっこいいなと思っていたダンサー達が同じように踊っているのを見ていて、

「このままでは本来のカルベリヤがなくなってしまうのでは?」と思ったこともしばしば。


そこで私は、これまで先生に学んできた大好きだったスタイルはもちろん、

そのもう一世代前の踊りや音楽も知りたくなった。


それを知れる方法はもうあまりない。



まずは、踊りについては先生のお母さん、音楽について先生のお兄ちゃん。


昔先生の家でお母さんが踊ってくれた時の映像を見返したり、一度ビデオ電話で踊ってみてもらったけど、お母さんはもう体調があまり良くなく、何度もお願いすることは難しかった。


そして最後はYoutube様。


比較してみよう。


これが今のスタイル(コロナ以降の変化したものではなく、私が憧れたスタイル)

ラージャスターンの地域や、流派とまではいかないけど、大元で核となるダンサーによっても踊り方は異なる。


まるで別物のように違うものに見えることもある。



私はジョードプル地方のスタイルに憧れて、先生についている。

映像はジョードプルに多く存在する、ムスリム楽士集団「Langa」の演奏。


違う音楽集団と一緒に活動するようになったのも1970年代後半以降のこと。


そしてこちらが一世代前にスタイル。

これはHoliの時に踊られているもので、おそらく外にみせるものではなく、自分たちのコミュニティー内だけで踊られている。


音楽もカルベリヤの男性のよる、蛇使いの笛プーンギーとマンジーラ(ティンシャ)のみ。

メイクもあまり色味はなく、目元のカージャルくらい。

衣装は長袖で、シルバーやビーズのアクセサリー。


先生のお母さん世代の人達はみんな「こういう踊りしか」してこなかったという。


長くなったけど、、、


私はこんな風に、踊りも衣装も音楽も変わってきていることを伝えたくて、残したくて

「新旧のカルベリヤ」に挑戦した。


(なんなら今の若い現地のカルベリヤの子たちに、私が好きなのはこういうのですと伝えたい笑)


前半は私のソロ。後半で生徒のSHOKOが今のスタイルとして入ってくる。

最後は二人一緒に踊る。



今のスタイルと比べて何が大きく違うかと言うと、「ステージ向けではない」ところだ。


顔はうつむき加減で踊り続け、足でくぐりぬけたり、バックベンドをするような大技はしない。ステップやハンドムーヴメントも控え目。


だけど、自由さ満点で、観ているこちらまで気持ちよくなってくる。


自分達で歌った踊って、手をたたいて、声を出して、

これがフォークなんだ、と再確認した一日でした。


このイベントの終演直後、楽屋に入った瞬間、

生徒たちとも共有できて、本当に良い機会をいただきました。


お母さん世代の人達が今もこの世界に存在している間に、

早くもう一度ラージャスターンに行って、観たい、聴きたい、知りたいことがたくさんあります。






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